京友禅と染匠 

 京手描友禅は江戸時代元禄の頃、宮崎友禅斎が京都知恩院山内にて、扇面の描画より発展させた絵画的色彩 の濃いキモノ模様染を編み出した時より発祥したと伝えられています。
 染匠という職業が誕生したのは、京手描友禅が産業として京都に芽生えたのと、ほぼ同時期といわれていますが、それがいつの頃なのか、定かではありません。
 現在、この京手描友禅は、意匠考案・下絵・糊置き・引染・挿友禅等少なくとも約14〜15工程の多岐に分業化され、刺繍や紋をも含めた”染め”の総合芸術・技術と意匠の集大成として、染匠の創作意図のもと創作されています。
 京友禅は、日本女性をより美しく彩るために創り出されたキモノです。 「女性の美」と「友禅の美」 この2つの"美"を追求し、極めるために活動しているのが染匠といえるでしょう。
 このように染匠の役割は、この"美しきもの"を、時代を超えさらに向上させるため、京手描友禅加工のプロデューサーとして、きもの創りのソフト面 を担当し、作品創作の全般を統括しています。


 手描友禅とは 

 京手描友禅は、複雑な工程と高度な技術が必要なため、1人の人間が各工程すべての技術を修得するのに、技術的にも時間的にも非常に困難であるという問題があります。そのため、各工程ごとに専門の技術者(職人)が受け持っています。
また、キモノは個人の趣味や流行の影響を受けやすく、そういう意味では、単品生産が向いている商品ともいえるでしょう。
このような理由から、今日の京手描友禅界には、独特の生産システムが誕生しました。